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眼鏡のつるをなぞりながら、まだいけますけど、なんて強がりが可愛く見える。
とてもわかりやすくて笑ってしまいそうだ。
「――もう一軒行きません?」
やっと言ったか、と俺は待っていたその誘いを難なく受け入れる。
「いいですねぇ――」
ここで、試し。
「――あ、じゃあ、俺の家で飲み直しとかどうですか?」
驚いた顏も予想通り。
それに試しだと気づいてるだろう。
話していて頭が良い事はわかっている。
ユーキ君は絶対に断らない。
あわよくば、と考えてもいるだろう。
「……いいっす、よ?」
「――ふはっ」
声の上擦りは卑怯だ。
さすがに我慢できずに俺は笑ってしまった。
ここは正直に返そう。
「緊張、走りましたねぇ?」
俺も馬鹿じゃない。
君と同じようにしてるだけ。
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