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俺はユーキ君の頬に手を添えてみた。
少し冷たい。
自分の手が冷たいのか、どっちか。
髪はどんな感じか、と撫でてみる。
見た目とは違って柔らかい。
「……な、なんです、か?」
動揺、戸惑い、緊張。
「んー? 失恋お疲れ様、と思って」
なんて言ってみる。
それ以外に理由が思いつかなかっただけ、とは言わないでおこう。
これは、本当に思っていた事。
俺が知らない、まだ経験していない恋が失われたのを茶化したりは出来ない。
「頑張りましたねぇ、ほんと」
眉間に皺は少しやらかしたか。
悪かった、と何度か頭を撫でていると、ユーキ君が降ってきた。
「――ふはっ、重て」
子供みたいにユーキ君は抱き着いてきた。
「よーしよしよし」
と、俺はさらに背中も撫でてやる。
甘えてきたので、甘やかしてやる。
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