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“我々も貴方に餓死されたら困るんですよ、旦那”
「何キャラだよお前」
とりあえずさっきからずっと目につくステーキを選んでみる。
“じゃあお金頂戴”
「誰に渡すの?」
“ここだよここ。ほらボクに近寄って。そう、上に穴があるからそこに入れて”
貯金箱みたいに薄い穴があいている。
財布から10円を取り出していれてみた。
「なけなしの金だからな! 取ったら怒るぞ!」
“誰も取らないよ。よっと!”
何もない空間にポン! と皿に乗ったステーキが現れた。
重力によって下へ落ちていく。
「おいおいおいおい!!」
何とか手が届き、隠し味に土、という最悪の事態だけは避けられた。
“反射神経無いね”
「うるせぇ!! なんだテメエさっきから喧嘩売ってんのか!」
焼きたてのようで、湯気がステーキから上がっている。
スプーンやフォークは無いので手で取ってかじりつく。
「うめぇ!」
久々にステーキ食った!
夢中になって貪る。
“で、食事中だったら貴方は静かになるだろうから、これからの事を伝えとくね”
ああ、勝手に喋れ喋れ。俺は食う。
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