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金を渡した瞬間、人一人通れるぐらいの通路が地上まで繋がる。
意外に地上まで近いな。
50メートルほど緩やかな坂になっている。
とりあえず外まで出てみた。
運動不足のせいで息が上がる。
「ぜぇ……ぜぇ……。しんどい。外は晴れか。さ、戻ろう」
「ぐるるるりりりぃぃぃぃぃ」
え? 怖い怖い怖い。何!?
狼の顔だけのような奇妙な生き物がこちらに牙を剥き出しにして微笑んでいる。いや、威嚇しているんだろうな、やっぱり。
よだれをダラダラ垂らして、顔だけのくせに全体は俺より大きい。
「死ぬ死ぬ。助けて誰かあああああ!! ぎゃあああ!!」
とりあえずダンジョンへ全力で戻る。
球体の部屋まで50メートル。それほど遠くない。
あと一歩で球体というところで、運動していない足がもつれ、おもいっきり転けた。
“2のダメージ! 残りHP1”
何で敵に攻撃されてないのにいつも死にかけてるんだろう。泣きたくなってきた。
「何あれ! ねぇ! 何なんだよあれ!」
“あれは顔狼(がんろう)。レベル4の魔物だよ”
「なんか友好的じゃないんですが? 魔王に歯向かうんですか? 反抗期なんですかね? ちょっとあの人、人のダンジョンに入ってきましたよ!不法侵入ですか!? 怖い怖い!」
移動の仕方がまた怖い。転がって来ている。よくあれで天と地がぐちゃぐちゃにならないものだな。生物的に間違えてるだろう。
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