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深い深い落とし穴にでも落ちている感覚。
体に浮遊感、はっきりしない意識。
「う……ああ……」
発声がうまくできない。
目も開かない。
何してたっけ?
どこにいるんだ?
手足をゆっくり動かすと、地面へ触れている感触がある。
その感触を確かめた瞬間、体に力が戻り瞼を開いた。
暗い。
真っ黒ではない。ほの暗い。
辺りを見渡すと光の元となる球体を発見した。
「なんだこれ」
体を起こし、球体にまで這っていく。
糸で吊るされているのか、空中に浮かぶ球体。
虹色に輝き、眩しくない光が辺りをほのかに照らしている。
「綺麗だなぁ」
触れた。
何か分からないが、手に取ってみたい衝動を抑えられず触れた。
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