第一章 異世界と五歳の誕生日

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-昼休み〈屋上〉- 「…………ん………ふぁ……今……何時………?」 目が覚めてスマホで時間を確認すると、四限目の授業が終わったあとだと気づいた。それと同時に、教室に弁当を取りに行かなければいけないことにも気づいた。 「弁当………………………取りに行かないと。……食べなかったらまた蒼夜に怒られるな…………………行くか……」 教室に戻るとクラスの皆が勇輝を囲んでワイワイ騒ぎながらお弁当を食べているところだった。 一瞬ドアを開けるのを躊躇ったあと、勢いよく開き勇輝達がいる場所へは一切目を向けず、自分の席へ向かった。鞄を手に取り足早に出口へ歩きだすと、私に気付いた勇輝が名前を呼んだ。それに気付かなかったふりをして廊下へ出ようとすると、勇輝が席を立って追いかけてきて、私の腕を掴んだ。 「麗氷。一緒に食べようよ!」 「私は一人で食べる」 勇輝の誘いに間髪いれずに断ると、クラスメート達から睨まれた。ヒソヒソと話す声から聞こえてくるのは、「勇輝がせっかく誘ってくれてるのに」とか「勇輝君の誘いを断るなんて何様?」とか「勇輝君の幼馴染だからって調子乗りすぎ」何て言う悪口ばかり。好意があるなら誘ってもらえれば嬉しいだろう。けれど、私は勇輝に対して嫌悪感しか抱いていない。そんな状態で誘われても迷惑なだけだ。 いまだに私の腕を掴んでいる勇輝を振り払い、早足で歩きだす。屋上に戻ると私は、弁当を食べて再び眠りについた。

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