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今年、流行する髪型として、アフロが紹介されていた。
その時は、何の気無しに思っていたが、俺がそのアフロ勢力に脅威を感じたのは、それから半年後の事だった。
街へ出れば、右も左もアフロだらけ。もはや、日本中がアフロで埋め尽くされるような勢いで、アフロ人口は、増加の一途を辿っていた。
ヘルメットにアフロのカツラを装着した『アフロメット』までもが販売され、アフロメットを脱いでもアフロが登場。まさにアフロ・オン・アフロ。どんだけアフロしてんだよという話である。
空から撮影すれば、きっとブロッコリー畑のようなものが撮れるに違いないだろう。
アフロの勢力は、留まる所を知らなかった。相撲では、アフロヘアーの力士が華麗な土俵入りを決め、国会中継ではアフロヘアーの議院が、国の未来について議論していた。
「もうこの国も終わったな」そう思った。
家に帰ると、
「お食事にします? それともアフロにします?」
と、アフロヘアーの妻の声。
「笑えねえ」そう思った。
愛する娘がアフロで帰宅した時には、さすがに俺も激怒した。
「校則違反だろ」と、俺。
「だって、校則なんだもん」と、返すアフロな娘。
なんということだ。校則までもが、アフロに侵食されてしまっていたとは、アフロディーテもさぞかし驚いていることだろう。
実家では、禿げた親父が残った髪をアフロにしていた。なんだかシャンプーハットのように見え、泣けてきた。
会社では、同僚はもちろんのこと、社員全員がアフロにしていて、もはやアフロにしてないとクビにされそうな勢いだ。
だが、俺はアフロにしなかった。
例え、国民全員がアフロにしても、俺だけは絶対アフロにしないと、そう心に決めていた。
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