アウトローな奴

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 このファミレスに入店してから一日半。時間にしたら、三十六時間くらいだろうか。  ステーキ、ハンバーグ、パスタ、パフェなどなど、思えばいろんな物を注文したもんだ。ドリンクバーを全種類飲み尽くしたのは、遠い昔の事のような気がする。ところで、このコーヒーは何杯目だろうか。  サラダバーでの野菜も食い飽きたし、もはやドレッシングは、ただの油っこい液体に感じるようになっていた。  店の連中も、俺のことを妙な目で見るようになっている。そりゃそうだ。昨日いた客が、今日も引き続きいたのでは無理もない。注文を取りに来るウエイトレスの笑顔が消えて、半日は過ぎただろう。  さて、そろそろ帰らなければならない。しかし、俺がこのファミレスから出るには、一つ重大な問題があった。  実は、俺の財布には金が入っていないのだ。  あまりにも空腹で死にそうだったので、このファミレスに入り、いろいろと注文し、食べてる間にどうにか突破口を見出だすつもりだったが、結局いい案は浮かばず、一日半も居座るはめになってしまった。  どうやら、俺に残された道は、食い逃げしかないようだ。トイレの窓は狭くて駄目だったし、裏口へは、厨房を通らないと出られない。やはりここは、男らしく正面から脱出するしかない。  俺はそう心に決め、分厚い支払い伝票を手に、重い腰を上げ会計へと向かった。座り過ぎていたせいか尻が痛い。
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