いっぱくひゃくえん

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 僕は女が目覚めるのを待った。起こしてもよかったが、女の寝顔を見ていると、不思議と落ち着いた。  もし、同棲なんてものをしてたら、毎日こうして、彼女の寝顔を拝めるものかと思うと、嬉しくなってしまった。  そして、小一時間ほど経つと、女は機嫌が悪そうに目覚めた。 「あーよく寝た」  というのが第一声だった。そして、僕の存在に驚きもしないで、財布から百円を出して、僕に手渡した。  そして、ポカーンとしている僕を気にもせず、 「じゃ」  とだけ言い残し、何食わぬ顔で女は出て行った。僕は部屋の外まで女を追いかけ、ただただ呆然と見送るしかなかった。  ふと振り向くと、部屋のドアに「いっぱくひゃくえん」という落書きが書いてあった。  僕はその落書きを、未だに消せないでいる。
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