ヒモのような存在

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だがそんなある日、智子が招かざる客を連れて帰って来てしまった。  そう、男である。俺という同棲相手がいながら、智子はいったい何を考えているのだろうか。  しかし智子は悪びれるそぶりもなく、いつものように「ただいまー」と言っていた。  俺は、戸惑いながらも智子の後ろにいる、いかにも軽薄そうな男を睨みつけたが、男は俺のことなど眼中にないようだ。  なぜだ。女に部屋に招かれて、その部屋に男がいたら、なんらかのリアクションがあるはずだ。  それとも、事前に智子から俺の存在を聞いていたというのか。  ではいったい、この男は何の目的で俺と智子の「愛の巣」へ足を踏み入れたというのだろうか。  わからない。  わからないまま智子とその男は、そのまま寝室へと消えて行った。俺もついて行こうしたが、寝室の手前で閉め出されてしまった。  扉の向こうから、今までに聞いたことがない、智子のなまめかしい声が聞こえる。俺は扉の前で、どうすることも出来ない。  俺に出来ることといえば「ニャー」と鳴くことくらいだった。
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