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ボクはその日、めちゃくちゃ退屈していた。
ていうか、毎日退屈していた。
こんなボクでも都会で成功したいと夢を抱いて上京したけれど、入社した会社はブラック企業。
居酒屋出向を命じられ、働き始めたら気が付けば自分、1日働きっぱなし。店長にはこき使われて、めんどうな掃除やら何やらすべて押しつけられて。
あ~思い出すだけで腹が立つ!
店長と合わないし、裏の仕事ばかりでこき使われて、売り上げに貢献できないと本社に戻れないっていわれて。
もう無理ってやめた。
根性ナシ?
いや、誰でもやめると思うよ。マジでブラックだもん。
いま、失業保険で食いつないでいるから、早く仕事を探さないといけないんだけど、何がやりたいのは自分でもわかんない。
成功したいって、ボクはいったいなにで成功したかったんだ?
あ~わかんね~と思いながら、退屈しのぎに渋谷の街をブラブラしていた。
缶コーヒーを飲みながら。
そのとき、あの男が近づいてきたんだ。
「ねえ、ちょっと時間あるかな」
「なんすか?」
「めっちゃおいしい話があるんだよ。暇なら乗らない?」
「おいしい話?」
「君にあるクイズに答えてもらいたいんだ。全問正解すれば50万円!」
「マジっすか。どんなクイズですか?オレ、アニメとかダメっすよ。そうだな。芸能系ならイケるかも」
「いや、食べ物系。ていうか飲み物系のクイズ」
「飲み物?」
「それだよ」
男はボクが手に持っていた缶コーヒーを指差した。
「コーヒー?」
「そうコーヒークイズだ」
ボクは学生時代、カフェでバイトしたことあるから、ちょっとは知識がある。イケるかも!
「やってみます!」
「やった!サンキュー。じゃあ、うちの店に来て。そこがクイズ会場だから」
ほんの暇つぶしのつもりだった。暇つぶしで50万もらえればラッキーだと思っていたんだ。
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