無機物の僕は彼女ことが気になっている

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高校一年の三月の終わり頃であった。 体育館裏の桜の蕾は七分咲きまで開き、四月になれば満開となり人々の心に新しい春の息吹を送ることだろう。 と、そんなことを考えてしまった僕は今まさに桜の花びらと言う恋が散ろうとしているわけである。おっ上手いこと言った。 『君って無機物だよね』 元カノが最後に言った――さようならを言う前の別れ言葉である。要するに無機物は熱しても燃えにくい=冷めていると付き合っているのに冷めているを掛けているのだろう。 その時の僕もついその場で上手いと言ってしまった。彼女は多分反論して欲しかったと思うが、僕のふざけた態度に飽きれてしまったらしくさようならと言って立ち去ってしまった。
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