無機物の僕は彼女ことが気になっている

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「暴力を受けてどう思いましたか?」 「可愛い」 「それ真面目に言ってます?」 だってめっだぞ、めっ。怒るときにそんな事されたら誰だって可愛いと思う。 「冗談。本当は嫌な気持ちになったな」 「そうです。暴力は人を嫌な気持ちにするものです。どんな問題があってもそれを暴力で解決すること出来ません。それは解決ではなく脅迫です」 「そっ、そうですね」 イエス以外に返答が許されないような空気を醸し出す彼女は笑顔を絶やさない。 ただそれだけなのに僕はいつの間にか彼女の虜になっているような気がした。 「暴力は絶対ダメですからね。約束ですよ」 「うん、わかった約束する」 僕は彼女と非暴力の契りを交わし、彼女は『では、さようなら』と言って立ち去った。 柔らかい光に包まれたような彼女の後ろ姿を見送る僕の心拍数は以上に高いような気がした。 なんだろう、この感情は。
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