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俺と彼女の付き合いは、生まれる前まで遡る。マタニティクラスで一緒だった俺達の母親は、一日違いの出産予定日に意気投合して、 最終的に俺と彼女は同じ病院で、同じ日に、3時間違いで生まれた。 その後、小学校に上がる前に俺が一度引越しをして、中学入学のタイミングで同じ街に帰ってきた。
入学式の前にやたらハイテンションの母親達に言われるままに俺と彼女は並んで写真を取らされた。
幼稚園以来の再会は、はっきり言って初対面同然で、「ちょっと、二人とも笑ってよ」と言われたって幼稚園児の様に無邪気に笑える訳もなく。互いに戸惑いの表情を浮かべた俺と彼女が並んでいた。
「ここの写真1枚貰っていい?」
「ここのってこの砂地か?」
頷いて、ロブが適当に開いた赤茶けた砂地のサムネイルの1枚に触れるとクルリと回転するモーションと共に拡大される。俺が選んだ1枚は、ゴツゴツした赤茶けた岩が転がる荒野の中で、1人の宇宙飛行士がカメラに向かってピースしているもの。
「これ、お前じゃないだろ」
「いいよ。どうせスーツ来て出たら顔なんてわかんないし」
俺だろうと誰だろうと、スーツを着ていたら見た目は変わらないはずだ。
「薄情だなぁ、お前」
そう言いながらロブは俺のスレートPCに画像を転送してくれた。
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