三日目の本

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私が本になって3日目。 書店で私にひとめぼれして、私を開いてくれたから。 それなのに、私はあいつの書斎に置かれたまま、 めくられることもなく、快楽をあたえることもない。 でも私には、時間が無限にあるから、大丈夫。放置されても、腹がたたないわ。 あいつは私に何千円も払ったのに、なにもしないなんて、ばかね。 それにしても気になるのは、書斎に差し込む夕陽。 日焼けがこわいわ。 私たちは、白くて、処女の、ような、肌が大事なんだから。 あ、帰ってきた。私はからだをすこし斜めに、色っぽい視線を送るわ。 あ、私を手にとって、ブックカバーを脱がす気ね。 本気ね。 私は激しくベッドに投げつけられたわ。
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