ごふくを貴方に

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チャイムが鳴り響き、少し経ってから先生がいつも通りの少しだるそうな歩き方でゆっくりと教室に入ってきた。 一瞬先生と目が合ったけれど、向こうがさっとそらした。 そこから、簡単な連絡を淡々と済ませると、また目が合った。 そして、先生はちらっと廊下の方に目線を移し小さく頷く。 その意図を察した私は小さく頷いてみせた。 「んじゃ、真面目に授業受けろよ~」 軽いその一言で朝礼は終わった。 出席簿の角でとんとんと肩を叩きながら、先生は教室を出ていった。 私もその後を追って教室を出た。 「おお、すげえ。 意思疎通した」 私が出てくるのを待っていたように、先生はスライドドアの出てすぐの真横に立っていた。
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