ごふくを貴方に

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確かに、後日SNSで写真を上げていた人達の撮った花火や川辺の風景はとても幻想的で美しかった。 けれど結局最後に私の記憶の中に残るものといえば、 延々と歩かされたことで靴擦れしたことや、人とぶつかって服にジュースのシミやりんご飴のベトベトをつけられてしまったことくらいだ。 「行くなら、天神祭りの後日がおすすめやな」 「後日、ですか?」 「そうそう。 あそこって当日は交通規制がかかって一方通行やから立ち止まられへんくて。 物落としても拾われへんから、いろんな物が落ちてんねん。 携帯とか下駄とか、たまに帯も落ちてるで」 帯って! 下駄ならまだ分かるけれど、何をどうしたら帯が落し物になるのだろう。 クスクスと笑いながら反物を棚に戻した。
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