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「騙されたアカンで天音さん。
こいつ、中学生ナンパするようなロリコンやから」
「・・・え?」
オトンが真顔で、口ぱくで天音さんに向かって「離れとき」と合図を送る。
こころなしか、天音さんが少し体をずらしたように思えた。
「ちょお待てオトン。
僕がいつどこで、何時何分地球が何周回った頃に中学生を誘ったりしたんや!」
「なんやその小学生みたいな言い方は!
言うとくけど、俺はこの目でしっかり見た。
去年の正月、お前はたしかに中学生をナンパしてたのをな!」
去年、正月、中学生。
その単語に思い当たる節が・・・あった。
僕の様子を見て「え・・・」とドン引きする天音さんの声が横から聞こえて、慌てて首を振る。
「いや、ちゃうって天音さん!!
誤解やから!」
「天音さん、そいつロリコン!
ロリコンやで!」
「うっさいボケ!
アンタは黙っとって!」
あれはナンパじゃない。
もうあの子の顔も忘れてしもたし、その子のお父さんが名前を呼んでたっぽいけど、その名前も忘れてしもうた。
けど、何となくどこか僕に似たような女の子。
不思議な女の子と、あの日僕は会うた。
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