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その子は視線を自分の足首に向けた。
「ちょっと見してみ」
そう言って前にしゃがみこめば、その子は下駄を脱いでゆっくりと足を出した。
「くじいたんやね、痛そうに。
ちょっと待っとき」
立ち上がって、懐から手拭いを取りだした。
人助けやし神さまも許してくれるやろ、とそれを濡らすべく手水舎へ向かった。
戻る際に出店に寄って、甘酒を一杯オカンから貰った。
って、僕何してんねやろ。
中学生の女の子相手にせっせと世話焼いて。
僕もしかして幼女趣・・・って、なんでやねん!
んな訳ないやん、あほか僕。
間違っても僕は幼女趣味なんて!
頭の中のそんな考えを吹き飛ばすかのように首を振りながら戻ると、女の子はまた空を見上げていた。
「応急処置やけど、これで冷やしといたらマシなると思うで」
そう言ってたびを少しずらさせて、濡れた手拭いを置いた。
そして手にしていた甘酒を渡す。
女の子が不思議そうに見上げてきたので、微笑みを浮かべた。
「甘酒やで。
オカンが出店出してるねんけど、かっぱらってきたわ」
その子は頬を赤くして少し小さく笑って、お礼を言った。
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