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その時気がついた。
なぜ僕がこの子に声をかけたのか。
僕に似てるからだ。
この子も・・・何か深く傷ついてるんだ。
ぼんやりと空を眺めるけれど、その瞳には何も映っていないような寂しそうな目、それでも気を張っている表情。
いつも力の入った肩に、きつく握った掌。
僕はオトンもオカンも、ちょっと喧しい姉も手に入れて、新選組という素晴らしいものに出会った。
世間から見れば幸せなのかもしれない。
それでも、失ったものは大きくて、傷つけられた場所は深い。
誰にも見えない場所にできた傷は、もしかすると、傷ついている者にしか見えないのかもしれない。
触れられたくない、だけれど助けて欲しい。
そんな叫びを、感じるのかもしれない。
「・・・叔母さん、着付け上手やねんなぁ」
「確かに、親戚の人は皆褒めてましたけど、私は着物着るの、好きじゃないんで・・・」
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