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「その、お兄さん苦しそうな顔してたから・・・
今お兄さんに頑張れって言ってもらって、人に応援されるのっていつぶりだろって。
その、胸が暖かくなって、嬉しくなって、だから・・・」
徐々に語尾が小さくなっていき、顔を赤くして俯いた。
なんて、ええ子なんやろう。
目を細めて、口角を上げた。
「あの、その。
お兄さんもすごく優しい人だから、いっぱい大変なことあるんだろうなぁって。
でも、優しい人の周りには優しい人が集まるっていうし、だから、影で応援してくれる人もきっといると思うし
私も応援してます。
だから、頑張って下さい」
一言一言ゆっくりと、考えるようにしてその子は言った。
確かに・・・
人に応援されるのってくすぐったいけど、嬉しいもんやなあ。
「おおきに」
そう言って笑えば、その子も嬉しそうに頬を染めて笑った。
「おいっ、惣七何やっとんねん!
ナンパした子とイチャコラしてんと、はよ手伝うたりい!」
遠くからオトンが怒鳴る声がして、溜息をつきながら立ち上がった。
それと同時に、参道から「そんなところにいたのか!」とこちらを見ながら男性が駆け寄ってきた。
どうやら、この子のお父さんみたいだ。
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