番外編・袖振り合うも他生の縁

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懐かしい事思い出したなぁ、と小さく微笑んだ。 確かあの時、あの子のお父さんが 「そんなところにいたのか、──!」 と最後に名前を呼んでいた気がするが、それももう定かではない。 不思議な女の子。 明るく笑う子やった。 去年に受験生やったってことは、合格してはったら天音さんと同じ高校生ってことやな。 頑張ってはるんやろか、と少し目を細めた。 「ほら、やっぱりロリコンやんけ」とけらけら笑うオトンを一蹴し、天音さんをみた。 頬を真っ赤に染めて、口元に手を当てている。 まさか、天音さんまで僕が幼女趣味と思うてはるんやろか!? それは不味い、非常に。 「ちゃうねん、天音さん!」 必死な僕の声が、お店に響く。 それは、一年前に僕が会うた足を痛めて泣きそうだった女の子が、 今僕の隣に座っている愛おしくて大切な人だと気が付く、数分前のことだった。 【袖振り合うも他生の縁】終わり
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