気紛れお嬢様

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無駄に広い部屋。何もない静かな部屋。 寂しいだけのただ寝るだけの空間。 「....あの子泣いてるかしら。」 思い出すのはあの子の事。何度もかけてきた電話も3日もするとかかってこなくなった。 まあ、あれだけの事を言ったのだからかけてくるわけないわよね。 突き放さないとあの子はきっとここまで来てしまうから。 そういう子なのよ。 あの子は。だけど、父がそんな事を知ればあの子はすぐにでも自由じゃなくなる。 決められた相手と結婚させられる。そしてあの家の為に利用されるのだ。 私達の父はそういう人なのだから。 私に利用価値がある限りあの子は大丈夫だ。 私があの子より優れてさえいればあの子まで犠牲にならずに済むのだから。 ...それにしてもあの学校...。どうしてあんな所に私を? 父の考えはやはり理解できそうにない。 私の通う学校は所謂不良高というもので柄の悪い人達の集まりだった。 まあ、その方がいろいろとやりやすいというものなのかもしれない。

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