1人が本棚に入れています
本棚に追加
膝をついて肩で息をする綜馬に条野は開栓している飲み物を与える、それを綜馬は一気に飲んでなんとか立てるくらいには回復する。
「サンキュ条野、飲みかけもらって悪いな」
そう言い中身がない缶を返す、そして初めて間接キスだということが気づいた条野は顔を真っ赤にする。
番条に支えられ零条の元に歩いて行くと、背中を見せている零条の前に立つ師龍が綜馬を指さして教える。
「んだ?もうへばっちまったのか、鍛錬が足りねぇんだよ鍛錬が。っても楽しめたぜ、久々に本気出せた気がする」
綜馬は最初の言葉にムカッときたが最後の言葉の方に興味を持った。
「本気出せた気がするって」
その質問には師龍が答える。
「零条はな自分では本気出せないんだよ、鳴海とやった時は3割くらいで今のは8割ぐらいじゃねぇかな。な、王騎」
隣にいる王騎が頷くと師龍は話を続ける。
「コイツはホントに気まぐれだからな、でも俺や王騎、あとあの人以外で8割以上出させる奴なんて初めて見たな。」
「え、サラさんとか東雲さんでも無理なのか?」
その言葉に呆れるような顔をして今度は王騎が答える。
「実力だけならな、けどコイツは女相手だと無理なんだよ。あとは一回本気に出来たところで次また本気ださせるってことはできねぇんだよ。究極の気まぐれだからな」
うるせぇ!と零条は二人に好き勝手言われて怒るが二人はヘラヘラして流している。
「楽しそうですね兄上は」
そんな三人のやり取りを見て一人は不意につぶやいてしまう。
「緋花か、お前もこうやって馬鹿できる仲間を作ることだな。俺はもう師龍隊のメンツにしかできないからな」
王騎は昔から無欲なため友情や愛情さえも持たなかった、その頃をよく見ていたため緋花はこんな事を呟いてしまったのだ。
「さぁて仕事仕事、あ!零条と師龍、また欲しいもん見つかったんだ聞いてくれよ」
その言葉に二人は露骨にだるそうな表情をするが約束なので仕方なく王騎のあとをついて行った。
「嬉しそうな顔だな」
綜馬が緋花の顔を覗き込んでニコニコしている、その言葉を聞いて緋花は赤面しながら否定する。
最初のコメントを投稿しよう!