昇格と喪失と外道

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 次の日緋花隊は師龍に呼び出されていた。  「集まったか、それじゃこの手紙の中を読め」  そう言われ5人は手紙の中身を確認する。  中からは質のいい紙が入っていて読んでいく、そうするとみんなは驚く。師龍はニコニコしながらその表情を楽しんでいた。  「そうだ、お前ら昇格したんだよ。しかも特例って言われてもおかしいくらい何階級か飛ばしてな」  手紙の中身は昇格のものであったのだ。  「緋花隊隊長一条緋花は准尉、綜馬は曹長、条野と番条は軍曹、時雨は1つ上がって少佐だ。昇格会議で決まったそうだ、特に綜馬は大尉の条件をクリアしていたんだが一等兵長から大尉は変に思われる可能性があるからな。他の者もそうだあと1戦くらい活躍すればそのところまでいくだろうよ」  その後に同じく上条隊も昇格した、隊長の上条は軍曹、他は伍長という待遇なのだ。  昇格を聞いて舞い上がる五人だったが師龍は机に肘をついて話しかける。  「嬉しそうな中悪いんだけどさ、先日俺達が吸血鬼達の拠点を取ったよな?」  はい、と緋花隊の全員が答える、それは当然なのだ。勝ったからその領土は確保した。  「あそこね、今朝方偵察隊が確認して帰ってきたんだけど。配置していた最小限の兵達が皆殺しにされていたらしい、しかと貼り付けにされて」  その瞬間全員の顔が真面目になった、それを意味することは  「偵察隊はその正体を掴んだ、吸血鬼の本隊が攻め込んで来たんだ。王らしき吸血鬼も確認できたことから休んでいる暇はないぞ、奴らは賭けに出てきた。それは…」  そして最後に何か言いかけると同時にサイレンが鳴り響く  「隊に士官以上が所属する隊長は直ぐに西方にある砦へと集合してください、その隊長の隊は出撃準備整えてください」  その緊急放送が終わると同時に師龍は席を立ち  「話しはこれまでだ。緋花、お前も対象だ、行くぞ。サラ、後は頼んだ。零条は好きにさせろ」  サラは敬礼すると急いで執務室を出る、それにつられて綜馬達も初陣で奪還した砦へと向かう。
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