十鬼柱と綜馬と杏

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二人の間に沈黙が流れる、そして先に開いたのは綜馬だった。  「天使因子、調べたんだよ。天使の素質があるもので杏ちゃんの持っているそれは神器、天使が持っているもの。吸血鬼の後ろにいる何かがわかったんだ、けれどそれは今はどうでもいい。」  その言葉を聞いて杏は綜馬に話す、この戦乱の中で。いや話さなければならないと思ったからである。  「吸血鬼に連れ去られたあと、吸血鬼は天使因子というものを人間たちに埋め込んだ、私も同様にね。その天使因子が開花したものが吸血鬼を操る元凶。私の中にある天使因子の名前はミカエル。」  その言葉を聞いて綜馬の魔力が強く反応を起こした、まるで杏が近づくのを避けるように。  『綜馬!その女を私に近づけさせるな!』  ルシファーが取り乱して綜馬に強く訴えかけるのだった、それを聞いて綜馬は杏と少し距離を置く。  「吸血鬼は天使因子を開花させた天使にこの世を治めるようにしてるらしいの、だからあえて吸血鬼達は下になっていつの日か統治した時いい地位を得るためにこんな雑務をしているの、今吸血鬼達から大王と呼ばれているのがメタトロンっていう天使なの」  その言葉に再びルシファーが反応して魔力が意思を持ったように動き杏を吹き飛ばそうとする。  『綜馬!その女は危険だ、そいつは根本的に敵だ!一生分かり合えない敵なんだよ!』  そのルシファーの声は杏には聞こえないため綜馬は無視して綜馬は自分のことを話す。  「杏ちゃん、天使因子を取り込んでいるのはわかった。でもね僕もなんだよ、僕の中にいるのは傲慢のルシファー…」  その言葉に今度は杏の身体から綜馬を攻撃するように電流が流れ出る、綜馬は咄嗟に距離を取って事態を把握するように考える。  『綜馬ちょっと体を貸せ!私が話をつけてやる!』  そう言うと綜馬は意識が急に遠のくと同時に倒れそうになる、倒れる間際になって何とか立てなおすと綜馬の口が開く。  「おい小娘!私は綜馬と契約を結んだルシファーだ、天使因子を持つ貴様とは敵同士なんだ、死ね」  そう言い剣を抜いて首をはねようとすると剣で防がれる、そして杏はニヤリとして口を開く。  「久しいなルシファー。私だ、ミカエルだ」
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