十鬼柱と綜馬と杏

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 二人の体は今体内にいる何かが操っている状態だ。  「ミカエル、貴様らは何を企んでいる」  「それはこっちのセリフさルシファー、今さら堕天したあなたに何が出来るっていうのさ」  二人は剣を抜いたまま話しつづける、それは異様な光景だった。  「まぁこの子はなんとか私の事を取り込んでくれたから大事に扱わないと。それに分かっただろう、こちらの思惑に、それはアンタら人間と同じことさ」  「今の戦争は最終目標を達成するための前座で最後は人間同士で天使と悪魔の戦争ってことかい」  その答えにミカエルが正解!と指を指す。それをよく思わないルシファーは睨みつける。  「まだ完璧に開花できていないから意識取るのもままならないからそろそろ戻るかな、アンタもそうなんだろう?ルシファー」  ルシファーは舌打ちをして二人はその場に倒れる。  そしてひと足先に綜馬が意識を取り戻すと直ぐに杏も起き上がる、二人はルシファーとミカエルの会話を聞いたことにより沈黙する。  二人は相手を思う結果で体内に取り込んだが結果的に二人は引き裂かれる形となってしまった、しかもそれは大きな障害として。  「杏ちゃん、多分これが最後になると思うから。」  そう言うと綜馬は杏の事を引き寄せ強く抱きしめた、杏は最初戸惑っていたがすぐに強く抱きしめる。  「綜ちゃん、わたし必ず二人がまた元通りになる方法探すから。」  涙声で杏は綜馬に嘘偽りのない約束をする、それに対して綜馬も同じ気持ちだった。  「僕もまたあの日のように杏ちゃんと笑い合える日が来るように努力するから、それまで死なないから。しばしのお別れだ、好きだよ杏ちゃん」  その言葉を言うと杏の事を離しお互い後ろを振り返って歩き出す。  「吸血鬼は即時撤退せよ!」  杏の号令に吸血鬼は直ぐに剣を納め退却していく。  「人間相手に苦戦するなど汚点だ、次は殺す」  「こっちのセリフだ、最強が目の前の敵を逃すなど」  そして数分後には吸血鬼達はいなくなり人間は勝利する。  しかしこれはまだまだ始まったばかりなのであった。
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