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「……雨宮の家で知り合ったんだよ」
「雨宮議員は、あなたの存在を隠したがっているように感じましたが、家にはよくいかれていたんですか?」
「ここ数年の話だよ。あいつが出世していくのに、逆に俺を懐に入れた方がいいと思ったんだろう。急に家に呼んでくれたり、パーティに参加させてくれるようになったんだ。まぁ、親戚の子扱いだったけどな」
「なるほど、そこで白崎卓に。お会いして意気投合したわけですね」
「ああ」
「こんな組織を作ろうと思ったのは、どうしてですか?」
ホームズさんが祭壇に目を向けて尋ねると、宏郎はバツが悪そうに俯いた。
「卓が、『宗教は金儲けできる。あんたのカリスマ性と、俺の頭脳があればやれるんじゃないか』って言い出したんだ」
「――なるほど。ですが、今のあなたは組織を外されてる。言い換えれば、追い出されたかたちになるのでしょうか?」
「そうだな」と宏郎は頷く。
あまり悔しそうではないのが、意外だった。
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