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「……そんなことを言いましたか。僕は忘れていました。
そんなあなたは、その執着心を持って、一度盗まれた掛け軸の在処を突き止めたわけですね。そこで、宏郎さんと知り合った。そんな彼は面白いことをしている。これはいいと思ったのですね」
「まぁ、そういうことだな」
「そんな折、雑誌で優子さんの姿を見て、あなたは驚かれた。陽子さんそっくりの娘がいたわけですから。それで優子さんを手に入れたくなり、宏郎さんを利用したわけですね」
「それは少し違う。最初に優子の写真を見付けて、彼女を生き神にできたら、と提案してきたのは宏郎の方だ。わたしにとっては渡りに船だったよ」
「そうでしょうね」
とホームズさんは笑みを返し、そっと陽子さんに視線を移す。
「陽子さん、あなたは、家出した優子さんが、國代先生のところに行っていることを知っていたのではないでしょうか。
こんないかがわしい組織だということは、もちろん思っていなかったみたいですが……」
ホームズさんの問いかけに、陽子さんの肩がぴくりと震えた。
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