Episode 3 『新緑のサスペンス』

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「ええ、アドバイスで誰かを導いたり、手助けしたりは素晴らしいです。ですが、アドバイスをした後は、もう忘れるようにしましょう。 結局、どの道を選ぶかは自分でなくてはなりません。たとえ本当に『最善の道』だとしても、それを選択しなかったということは、その人が自分で決めたことなので、それも尊重すべきなんです」 「導くと支配はベツモノなんですね」 強く頷いた私に、ホームズさんは、そうですね、と言って動きを止める。 「世の中には、導くふりををして支配する輩がいます。それが一番怖いかもしれませんね」 「それって、清兄のこと?」 間髪入れずに言う利休くんに、私は吹き出しかけて口を押さえ、ホームズさんは肩を上下させた。
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