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「僕はそんなことはしないですし、自分はそうじゃないと信じたいのですが、たしかにその素養はありそうなので気を付けようと思います。
今回の事件に関しては、あの男でしょうか……」
「あの男って?」
「……雨宮議員は、今回の事件が発覚するなり、奥さんに三下り半を突き付けられ、離婚に至ったそうです。そして名字を旧姓に戻し、史郎さんとともに渡米したとか」
「え……」
驚きに言葉が詰まる。
離婚になったのは仕方ないのだろうけど、あまりに迅速な気がした。
「僕は今回の事件、証拠はないですし、直接係わっていないですが、史郎さんが裏で糸を引いていた気がしてならないんです。自分の手を一切汚さず、父親も弟も暁もすべて手駒にしていたのではないかと」
低い声でそう告げたホームズさんに、ぞくりと背筋が冷える。
「まぁ、僕の憶測でしかないんですが」
ホームズさんはすぐに表情を緩めて、対面に腰を下ろした。
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