Episode4 『その心は』

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――― ――――― ―――――――― おそらく、一年で一番、京都に観光客が集中するのは、ゴールデンウィークだろう。 京都駅前のバスターミナルは、長蛇の列を作り、四条通から八坂神社に向かって歩く人の数はいつもの三倍くらいに思える。 それは、寺町三条界隈も同じであり、今年のゴールデンウィークも随分賑わっていた。 客があまり入らないこの骨董品店『蔵』にも結構な頻度で、お客様が訪れていたため、私は目を回していたものの、ホームズさんは、終始ご機嫌だった。 そんな五月も、アッという間に終わり、梅雨時期を迎えていた。 『蔵』も通常の状態に戻り、のんびりとした静けさに包まれている。 今年の梅雨は奇妙なもので、雨が降る日が続いても、晴れる日はからっと晴れてくれる。 もちろん雨の日は多いが、曇りやじめじめとした天気が続かないのは、良いと思っていた。 そんな六月も、もう終わりに近づいている。 「先月のゴールデンウィークの賑わいが嘘のようですねぇ」 私はカウンターに座ったままの状態で、そう零す。 目の前には参考書とノート。いよいよ、受験生となった私は、バイトには入らず、ここで勉強を教えてもらっている。 ただ、留守番が必要となった場合は、勉強の手を止めて店員となっていた。 「本当ですね。のんびりしているのも良いですが、やはり『店』としては、寂しいものですよね」 対面で、ホームズさんは帳簿をつけながら、そう答えた。
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