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「でも、ゴールデンウィーク期間、お客さんの出入りはありましたけど、見ていくだけで買っていかれない方の方が多かったですよね?」
それでもホームズさんは、構わないんだろうか?
そんな気持ちを込めて尋ねると、彼は「そうですね」と相槌をうつ。
「ふらりと訪れたお客様が、何万、何十万もする骨董品を買っていってくれることなんて、そもそも期待していないんですよ」
「そうだったんですか?」
「ええ。それよりも、ここに来て、骨董品を見て触れて、古美術に興味を持ってくれたり、好きになってほしいという気持ちの方が大きいんです。
ですから、お客様がたくさん来てくれると、たとえ買わなくても嬉しいんですよ」
「それで、ホームズさんは、ここでコーヒーをお出ししているわけですね」
私は納得して、うんうん、と頷く。
お店に来て、商品を買わなくても構わない。
店にあるものを見て、好きになってくれたら、それはいつか古美術界の未来にもつながるわけだ。
素晴らしいな、と思っていると、
「そうして、いつかうちの太客になっていただけたら」
胸に手を当てて微笑むホームズさんに、私は言葉を詰まらせる。
うん、相変わらず、『安定のホームズさん』だ。
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