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「ありがとう、清貴くん。君の淹れてくれたコーヒーの味が恋しかったよ」
左京さんはそう言って、コーヒーを口に運び、美味しそうに頬を緩ませる。
その姿を見て、ホームズさんは嬉しそうに微笑み、対面に腰を下ろした。
「それで、左京さんは今、鷹峯のあのお屋敷にお住まいなのですか?」
「そう。いや、ちょっと違うけど、まぁ、そうだね」
曖昧なことを言う左京さんに、私は首を傾げた。
「どっちなんですか?」
「あの屋敷の敷地内に、離れがあって、そこにいるんだ」
「ああ、そういうことでしたか」
と、私とホームズさんは、納得、と頷いた。
「そうしたら、弟の司が『俺も親父と一緒に住む』って怒り狂っちゃって、司の方は屋敷に上がり込んでいるんだよ。と言っても一階の離れなんだけどね。でも、俺と違って、渡り廊下で続いているんだ」
そう話す左京さんに、私たちは「へえ」と相槌をうつ。
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