17174人が本棚に入れています
本棚に追加
/548ページ
「ところで、そのお茶会ですが、どちらの流派ですか?」
コーヒーを手にしながら尋ねるホームズさんに、左京さんはぱちりと瞬く。
「流派? いや、そういうのよく分からなくて」
左京さんは、ぶんぶん、と手を振る。
「左京さんは、父親である右近さんが開かれたお茶会に参加したことはありますか?」
「うん、たしかね。身内しかいなかったし、流派も知らずに飲んじゃって」
気恥ずかしそうに頭に手を当てて、左京さんはあははと笑う。
「その時に飲まれたお抹茶ですが、よく泡立ってましたか? それともあまり泡立っていませんでした?」
「よく泡立っていたよ。っていうか、抹茶って泡立っているものだと思ってたくらいで」
左京さんの言葉に、私も「うんうん」と相槌をうつ。
私の中のイメージも、抹茶は泡立っている。
「それでは、おそらく裏千家ですね」
と、ホームズさんは腕を組んだ。
最初のコメントを投稿しよう!