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「そういうものなの?」
「クークラさんが、今日持ってきた書物をすべて読んで理解されるまで、どれだけの期間がかかるか見当もつきません」
「そっか……」
クークラは少し残念そうに応えた。
「キキさん」
ハクが、ベッドの中から呼びかけた。
「なんでございましょう?」
「もしも時間が許せば、その書物の内容をクークラに解説してあげることは可能ですか?」
「それは……無理というわけではございません」
「では、どうでしょう。もしも仕事の時間を短縮することができたら、その時間をクークラの勉強に当ててくださいませんか?」
「おっしゃることはわかりますが、わたくし、残業はしない主義で……」
実のところ、既にクークラに魔術を教える気にはなっている。自分の性格と兼ね合いのとれるような解決策をキキさんは考えようとしたが、それを遮るようにハクが言葉を連ねた。
「ええ。それは伺っています……私に、ちょっとした考えがあるのです」
「というと……?」
「もう少し、考えをまとめてから。その時に改めてお願いします」
「はい」
「ねぇキキさん……」
「何でしょうクークラさん」
「この本のタイトルにある、『大気に満ちる魂』ってなに?」
「そうですね。それは付喪神という現象や、ひいてはアニメートという術を理解するのに非常に重要な概念なのですが……ちょうどいい折ですし、アニメートという術の基本的な考え方だけでも、お伝えいたしましょうか」
「うん!」
キキさんの言葉に、クークラは手に持った魔術書を胸に押し当て、目を輝かせた。
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