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04.
そこまで話した後、ふとキキさんとクークラが顔を上げた。
「?……どうしました?」
二人の動きに、ハクが首を傾げる。
「スヴェシが来た……」
クークラが呟いた。同時にキキさんも、
「大気に満ちる魂が敵意を持っています」
と、言った。
「以前から感じていたのですが。この砦の周りの大きな魂の中には、多少異質なモノが混じっています。普段はそれほど感じられないのですが、砦跡に近づく者に反応して、それを観察している気配があります」
初めて砦跡に来た時、自分を検分するような視線を察したことがある。
「理屈はわからないけど、スヴェシのヤツが来るときはいつもこんな、イヤな感じがするんだ」
クークラは、スヴェシという人物に対する不快感を隠していない。
それにしても、クークラは自分と同じモノを感じ取っているのだろうか? と、キキさんは思った。本能的に大気に満ちる魂の動きを感じているのであれば、それはアニメートという術との相性が非常に良いと言えるのだが。
「それが本当なら、今年は早かったですね」
ハクはまだ少しふらつきながらベッドから降りた。
「クークラ、あなたは自分の部屋に居なさい。あの方の前でそのような態度を見せては問題になります。キキさんは、以前話していた通り、応接室を賓客対応にしておいて下さい。すみません、本当は次のシフトの時にゆっくりやってもらおうと思っていたのですが……」
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