7人が本棚に入れています
本棚に追加
03.
「それは難問ですね」
「うわぉ!!」
イタズラの跡をどのように隠蔽するか、それを考えていたクークラの後ろに、気配もなくキキさんが立っていた。驚いたはずみで身体をビクッとさせるのは、魔導生物であっても人間であっても同じである。
「キ……キキさん……いつからそこに」
「クークラさんが部屋に戻って、毛糸玉を持ちだしていたのを見ていた時から、変な予感はしていたのですが」
キキさんの表情は変わらないが、やはり怒っているようだ。
「あははは……ご……ごめんなさい……」
「ここが終わっていれば、今回の掃除もおしまいだったのですけど」
「……すみません、自分で片付けます」
「そうしていただければ助かりますわ……お手伝いはいたしませんので、そのおつもりで」
「はい」
ピシャリと言われて、クークラはまず部屋に散らばって絡まった糸の片付けから始めた。
手元に巻き取りながら、しばしば複雑にこんがらかった部分に頭を悩ませるが、しかしキキさんにせがんで貰ったものでもあり、その見ている前では、切ってどうにかすることも出来ない。
悪戦苦闘するクークラを、キキさんは入口付近でずっと見ながら、ふと口を開いた。
「クークラさん、仕事をしながら聞いてもらいたいのですが」
「はい?」
怒られるのか、もっと手際よくやれないのかと文句を言われるのか、そんな予感が頭をよぎり、クークラは身を固くした。
最初のコメントを投稿しよう!