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「モップの動きが不規則な理由ですが、それは自分の位置を検知する精度に関係があります」
「え?」
「手は休めないで下さいね」
「あ、はい」
「確かに、端から順々にやらせていった方が効率は良いのですが、この場合、ちゃんと拭いた跡を見て、すこしづつ重ねながら掃除をしていく必要があります。私やクークラさんならば簡単なことですね。しかし、わたくし程度の魔術で動かしたモップでは、この拭き跡をきちんと判断することができません。目という物がありませんし、自分の位置と動きの認識だけでは、そこまで高い精度で拭き跡を認識できないんですね。結果として、端から順にやらせていくと、拭き跡と拭き跡の隙間が拭き残しになってしまうのです」
「ああ、なるほど」
「それであれば、四方八方に走らせておけば、たとえ効率が悪くとも最終的には拭き残しを少なく掃除を終わらせることが出来ます」
そういうことだったのか、と、クークラは思った。しかしキキさん、自分の行動、どの時点からわかっているのだろう。
「今度から、疑問があったら聞くようにします」
「そうですね、それが手っ取り早いといえば手っ取り早いのですが……」
珍しく、キキさんが語尾を濁した。
「ええと?」
クークラが聞き返すと、キキさんは少し迷いのある声で答えた。
「こう言ってはなんですが、今回のクークラさんのイタズラには、わたくし少し感心しております」
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