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「い、や、だ!絶対しない!」
「えぇ……強情だなぁ。そんな芽衣ちゃんも好きだけどー、僕はやっぱり芽衣ちゃんと留衣と3人で居たいんだよー……僕にとって、この世でたった独りの[血の繋がる人]だし」
柔らかい声で零れる能見の言葉にまたも母は動く事を止めた。
眺めていた俺は立ち上がり、二人の側に寄るとそのまま能見から母を引き剥がして奪い返す。
「留衣?」
「母が嫌がってんだろ」
首を傾げてくる能見に俺は母を後ろ手に向き合った。
能見の言葉は理解出来ない。
それは、俺が何も知らないからだ。
でも、母が嫌だと言うのなら、俺は母の意志に従う。
「留衣……」
「母が嫌だと言ってんだからあんたと、なんて認めない」
俺は少し強い口調で言い切った。
俺の後ろで母はどんな顔をしているのだろう?
そんな事を考えてしまう……だけど、たぶん、怒ってはいないはずだ。
「そんなぁ……」
嘆き、落ち込んだ素振りを見せる能見は直ぐに「ふふ……」と笑みを零した。
〈怖っ!!〉
俺と母は拒否されても嬉しそうに笑う能見に怯えた。
「ま、いいか。これからは自由に逢えるし」
そう口にする能見の手には母のスマホが握られていた。
「留衣のは登録済みだよ。これで……芽衣ちゃんのも登録出来たし、僕のも入れたからね」
いつの間に?!
俺は自分のスマホを探した。
するとそれは能見のポケットから出てきたのを手渡された……震える手で受け取り、自分のポケットに隠した。
なんだこの人?!なんだこの人?!
「これから宜しくね」
「「絶対嫌だ!」」
ニッコリと笑う能見に俺と母は声を揃えて答えて、部屋から逃げ出した。
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