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適当に練り物と野菜を切って、揚げ物を出し、「んじゃ、俺寝るから、片付けといてよ。おやすみ」と声をかける。
「んー、おやすみー」「おやすみー」
と明るく返事をしてくるテンションの上がり始めた二人を残して、間におさまろうとする公平を引き連れて自室に向かった。
呑んだ後[片付け]をして寝た事がないのは知っているが、決まり文句だ。
二人だけで賑やかに愉しそうに笑い声をあげる姿を目の端に映す。
『大切なモノの為に強くならなきゃ……母親だから』
布団に入り、落ち着いてくると思い出してくる。
母はまるで自分に言い聞かせているようにその言葉を吐いたように思えた。
その言葉の後、麻琴の母親は離婚すると言った。
母もそうやって決断してきたのだろうか。
何かの為に何かを諦めて、何かを守って生きる為に、何かを捨てたのだろうか。
俺には解らない事だけど、母が笑って居てくれるように俺に出来る事を出来るだけしていこう。
そう思いながら眠った。
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