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身体の痛みは2週間ほど続いた。
俺は3日間学校を休んだが、公平と麻琴は2日後には登校し、休んでいた俺の為にノートを録って家に来た。
「二人とも大丈夫なの?無理しちゃダメよ?」
「平気です、芽衣さん。留衣は大丈夫ですか?」
「うん、丈夫に産んでるからね。夕飯食べて帰るでしょ?私、頑張るからね、食べてって」
麻琴は母に向かいまだ謝り足りないとでも思っているようだった。
「芽衣さんの手料理楽しみです」
努めて明るく振る舞っている様子が声色から判ってしまう。
しかし、母の手料理を食べた事がないとは……後の反応が楽しみなのはこっちの方。
驚け、母の料理は大味だ。
幼い頃によく平気で食べてたなと、俺は俺を誉め称えたい。
リビングのソファーで呆れ顔を向けていた俺の前で、公平は無言でじっと母を見ていた。
「どーした、公平?」
「留衣、あいつ……いや、確か、芽衣さんの手料理、久しぶりだな」
「ああ、帰ってきてから3日、ずっと3食出してくれるんだが……大量に作るから胃薬が必須アイテムだ」
密かに忍ばせている胃薬をポケットからチラつかせて見せると、公平は「プッ!」と噴いて笑ったが、言い掛けた言葉の続きが気になる。
聞きたい事は判る───『城崎』の事だろう。
3日前、俺達を自宅前で降ろした『城崎』は「お茶くらい出すわよ、無理言ったし」という母の言葉にのって「じゃ、飲んで帰るかな」と家に上がってきた。
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