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城崎からの届け物に足取りも軽く自室に消えた母に大きくため息が出て、自然と顔をしかめてしまう。
何をやってるんだか……。
今まで食事もとらず仕事に励んでいた事などない。
腹が空くと必ず何か食べに出てくる。
それを今回はする事もせず、部屋に籠っている。
城崎のヤツ、一体どれ程の仕事量を母にさせているのか……今度会ったらシメテやろうか。
着さらしたシャツや顔にまで絵の具をつけ、髪もボサボサで目の下にうっすらと隈があった。
夜中に起きているのはよくある事で、その分昼寝をしていると言っていたのに。
〈昼寝してないのか?〉
朝食にと用意しておいたトーストと目玉焼きを小袋に入れて生ゴミ箱に棄てた。
「留衣!芽衣さん大丈夫なのか?!あの城崎ってヤツ、芽衣さんに無理させてんじゃないのか?!」
夕食にと買ってある鶏肉を唐揚げにしてやろうとまな板に乗せていると、公平がソファーから喚いてきた。
握った包丁をギラつかせて顔を向けると、公平と麻琴は僅かにビクついたように見えた。
「何か言ったか?母の仕事に口出すなよ。面倒臭いから」
二人はいつも以上に大人しく、静かに公平は不貞腐れて夕食が出来上がるのを待った。
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