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母の引きこもりは15日間も続いた。
「……芽衣さんが足りない」
麻琴がボヤくほど母はホントに部屋から出て来ることがなく、食事時以外俺でさえ姿を見ていない。
その食事も慌ただしく掻き込んで「ごち!」と告げては部屋に戻るを繰り返している。
「母、もっとゆっくり食え!」
「ごめっ、もう少しだから!」
一体どんな仕事をしているのか。
城崎がウチにやって来た時に思いきって聞いてみた。
城崎は殆ど昼間1時間ほど、昼飯時前後にやって来ては居座る。
「ん?別にそんなに急ぎの仕事はさせてないぞ。ただ、締め切りがな芽衣の都合に合わないだけだ。ま、心配すんな。その内解る」
ニヤリと口元を上げるだけの嫌味にも見える笑みを作ってそう答えてきた。
城崎は様子見だと言って1週間に1度のタイミングでやって来る。
母から画材の仕入れを頼まれているとか、都合のいいような理由をつけてだ。
その度に俺はヤツの分まで食事を構えてやらなければならなくなった。
不愉快だが、夏休みに突入したのだ、俺は常にウチに居る。
公平は[彼女]達にせがまれて日々デート調整で忙しく、朝に食事をしては1、2時間すると出て行くが、夕方にまたやって来る。
麻琴は「留衣、宿題見てあげるから、さっさと家事済ませなさい!」と、毎日ウチで母親の帰宅する夜7時くらいまで寛いでいる。
たまに「委員会がある」と学校に向かうが、それでも用事が終わるとやはりウチに来る。
二人の長期休暇の過ごし方は中学の頃と大差ない。
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