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「ねぇ、芽衣さんの仕事っていつ片付くの?」
「……知らねぇ。聞いてないし」
大量に出された夏の課題……いくら冷房の中で居られるからって、熱が出そうだ。
何故こんなに出されるのか。
[休み]だろ?休ませろよ!
俺は[休み]でも忙しいんだよ!
「聞いときなさいよ……せっかくの夏休みなんだから、芽衣さんと遊びたいじゃない!」
麻琴が広げた課題をペシペシと叩いて喚いてきた。
「うるさい」
「はい、そこ!間違ってる!」
文句を口にする暇もなく手元の誤りを正される。
ピンポーン──昼の11時半、麻琴の八つ当たりを避ける良いタイミングだが、これは嫌な予感しかしない。
ため息を吐いて玄関に向かう。
「よっ、これ差し入れ」
しかめっ面で出迎えているにも関わらず、城崎は涼しげな顔で、慣れた様で侵入してきた。
「暑いよなぁー、やぁ、麻琴ちゃん、こんにちわ。芽衣ー、持って来たぞー」
差し出された袋を受け取り、この図々しいヤツを睨みつける。
俺の部屋から麻琴が慌てて出て来て城崎を睨み付ける。
「あ、それアイスだから。早く食えよ」
一言も発していない俺に何も思わないのか、ガチャリと閉ざされた母の部屋のドアを開けた。
なんでお前は平気でドアを開ける?!
いつもそうだ、城崎は平然と母の部屋に入っていく。
「留衣、あいつの態度、なんとかならないの?!勝手に名前で呼ぶなって言ってんのに!」
麻琴はキーキーと苛立ちを俺の部屋のドアにぶつけるように爪をたてる。
何とかしろって言われても、城崎は俺の言葉などのらりくらりとかわしてしまう。
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