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俺の部屋と母の部屋は向かい合っていて、俺は寝る時以外部屋のドアは閉めない。
それは、母の部屋は必ず閉めきられていて、開けていても[壁]と同じ状態にあって不都合はなく、むしろ、いつ母が出て来ても判るようにしてあるからだ。
母の実家に居た時は一部屋に母と二人で過ごしていた。
だから、ここに越してきた時は家事態がちょっと広く感じて淋しかった、というのもある。
「んー、ありがとー」
4時間振りに聞く母の間延びした声にズカズカと近寄っていく城崎が気になり、何気なく母の部屋を覗いた。
大きなキャンパスが二枚……1枚は壁に、もう1枚はベッドに寄り掛かり、8畳間の部屋を占めている。
広く大きな窓に向かった作業机にはイラスト用紙が束となり、画材道具も整頓されてはいるのだろうが、机の上、半分を占領しているし、描きかけのイラストがトレースの上に乗っていた。
二つあるキャビネットからは、資料やら、書類やらがはみ出し、数ヶ所に積み上げられた分厚い本の山……母の仕事場……汚ねぇ。
床は丸めた紙クズが散乱、ベッドにまであるし、そもそもベッドにキャンパス立て掛けてあるって事は何処で寝てるんだ?!
布団は何処だ?!
なんだ、あの布切れの山は?!
読んで済んだ本は片付けろ!!
本棚はどーした?!
なんで本棚にぬいぐるみなんか置いてんだ!!
食った皿はキッチンに戻せ!!
うぅぅぅー……掃除してぇ!!!
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