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母の描く世界は好きだ。
青い双翼の天使と緑の片翼の天使。
キレイだ……。
「まだ仕上がってないんだよぉ」
見惚れているとふへへ……と笑い声をあげて母が照れた。
「大丈夫、明後日までに仕上げるからね、留衣」
母は親指をたてて息巻いていたが、俺は素直に誉める事が出来ず「おぉ、頑張れ。部屋、掃除しろ」と冷めた態度でしか返せない。
「芽衣さん、素敵です!頑張ってくださいね!」
隣で感激しまくる麻琴に羨ましくも、引く。
一生懸命な母に俺が出来る事、昼飯の準備をするべく、そのまま部屋を眺めていたらずっと母の絵を見ていそうで、恥ずかしくなってキッチンに向かった。
部屋の中から城崎がニヤついた顔を向けていた事にも気付かなかった。
普段、母は仕事場兼自室を開け放しては置かない。
作業中の物を見られるのが『恥ずかしい』からだそうだ。
集中している姿は俺は好きだが、その姿を他のヤツに見せたくないと思うから、閉めていてもらって助かる。
この日、昼食が終わるまで母の部屋は開け放たれていた。
食事の準備をしている間、麻琴は部屋の前に座って部屋を覗き、城崎は母と仕事の話しをしていた。
ホントにちゃんと仕事しに来てるんだな、などと感心してしまった。
当たり前の事だろーけど。
「マジで留衣君の料理旨いのな。芽衣によく躾られてんなぁ……ごちそうさま」
城崎は丁寧に礼を述べて「じゃ、明後日な」と言ってさっさと帰った。
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