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だけどやっぱり俺にとって誕生日は特別で、唯一母を独占できる日だし、母が俺の為に張り切ってくれるから1年の中でも1番楽しみにしている日の1つなのだ。
「もしかして、誕生日の為に無理してんのか?」
「もちろん!だって、毎日留衣に家事任せてばっかりだし、母が親らしいこと出来る唯一の日だもん、当然でしょ!だから、金曜日は何もしちゃダメだよ!その為に城崎さんにチケット取ってもらったんだからね!」
そう言い切ると母はまた自室に戻っていった。
嬉しいやら、腹立たしいやら……複雑だ。
何故そこで[城崎]が出てくる?
ため息を吐きながら食器を洗い始めると麻琴がジィー……と眺めてきた。
「何だよ?」
「いいなぁと思って。留衣は息子だから芽衣さんと二人っきりで遊べるから。私も芽衣さんと二人っきりで過ごしたいなぁー」
絶対させないけどな。
頭の中で麻琴を牽制しつつ、無言で返した。
この日から母はまた部屋に籠りきった。
食事を部屋まで持ち込み、画材が揃ったから
とか、仕上げに入ってるからとか理由をつけて出て来ない。
「食器は返せ!」とだけ告げて俺は母を見守った。
そして、木曜日がやってきた。
……城崎がやって来た。
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