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玄関から表に出るとあの高そうなセダンが門前に停めてあった。
ウチには駐車スペースはない。
母は免許を持っていないから、車がない。
だから要らない。
家を取り囲むように塀があり、玄関から回り込むように庭に行ける。
だけど城崎は庭には向かわず車に行き、クリアブックを助手席に大切に置いてから俺達に向き合った。
タバコに火を付けて、煙を燻らせる……様になっていてムカつく。
「何が聞きたい?つっても、予想はつくんだが……」
口元に手を充てて声を押し殺して笑う。
「あんた、一体芽衣さんの何なんだ?!」
公平が口火をきった。
怒りを込めた口調で噛みつく。
その様に城崎は我慢が出来なかったのか吹き出して肩を揺らす。
逆効果だと知っているだろうに……公平は予想通りに「何が可笑しい!バカにしてんか?!」と益々頭に血が登り、飛び掛かりそうな勢いだ。
「悪い……クククッ……別に、バカには、してない……ふはっはは……」
城崎の笑いは収まりそうになく、公平は殴りかかりそうになった。
が、俺が公平の腕を掴んで止めた。
殴り合いは嫌いだ、話しが出来なくなる。
「あんた、母とどういう関係?」
ストレートに、真っ直ぐに城崎を見据えて問い掛けた。
これ以外に[聞きたい事]はないだろ?
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