8月・HAPPY[BLUE]BIRTHDAY・2

3/13
44人が本棚に入れています
本棚に追加
/145ページ
家事をしないでいる。 男子高校生でなくても子供なら、当然しない日の方が多いはずだ。 朝から食事の用意をしない、洗濯をしない、掃除をしない……退屈でしかない。 母と暮らし始めて俺には[家事]が染み着いているようで、常々行っている事をしないでいると落ち着かない。 ソファーに戻りテレビを観始めると、母が起きてきた。 「おはよー留衣。誕生日、おめでと」 大欠伸をしながら伝えられる言葉に「おはよー、うー……ありがとぅ」と返す。 照れ臭い。 身体を伸ばし、にっこりと笑って目覚めた母がキッチンに立つ。 今日は特別。 ……胃薬は常備してある。 朝から夕食か?!と喚きたくなる量の朝食が出てくる。 山盛りご飯、味噌汁、玉子焼き、焼き魚、漬け物、サラダ……夜中に作った煮物、肉の炒め物、揚げ物まで作り始めようとする。 「朝からどんだけ食う気だ?!いい加減にしろ」 「だって、成長期の男の子はよく食べるって聞いたから。留衣、成長期でしょ、食べない?」 「成長期でも限度ってのがあるからね。俺、もう175㎝だから。どんだけ育って欲しいんだ」 「……目指せ、180㎝!」 爽やかさを気取って見せる母を〈アホだ〉と思う。 朝からこれだと1日が不安になる。 「今日は午後からお出掛けね。それまでしたい事してていいよ」 数人分の量を並べたテーブルで[夕食のような]朝食を食べながら告げられるとげんきんなもので、〈さて、何をしようか〉などと頭を働かせる。 先ずは、食べられるだけ朝食を腹に収めた。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!